ファン・ベアリングの各タイプ – メリットとデメリットに掛ける重み

2018年4月10日Ryan Smoot著

ファン・ベアリングの各タイプ – メリットとデメリットに掛ける重み

多くの電子システムでは、ファンは推奨温度内にシステムを保つために設計された重要なコンポーネントであり、電子機器が最適に作動し、最終的に操作寿命が完全に全うできるようにします。ファンに代わる温度管理技術の模索はおこなわれてきていますが、今のところファン以上に効率的かつコスト効率があると実証されているものはありません。

ファンは、ベアリング上を回転するローターを使用して、空気を退去させることで機能します。ファンは1分間に何千回も回転し、年単位の寿命が求められるため、信頼性の高いベアリング動作がファンの設計には極めて重要です。このプロセスではベアリングに莫大なストレスがかかり、重要なのはタスクによるということです。

広く使用されているベアリングの2つの設計は、スリーブベアリングとボールベアリングです。そしてそれぞれにメリットとデメリットがあります。

スリーブベアリング・ファン

スリーブベアリング・ファンは安価、堅牢かつシンプルな設計で、多くのアプリケーションで広く使用されています。この堅牢な設計により様々な過酷な環境条件でも使用することができるだけでなく、シンプルな設計により誤作動も発生しづらくなっています。スリーブベアリング設計のもう一つのメリットは動作中のノイズが比較的少なく、オフィスのような静寂な環境でも広範囲で使用することができます。

スリーブベアリング・ファンの中央シャフトはスリーブのような構造内に包まれており、オイルや潤滑剤を使って回転を滑らかにします。このスリーブはシャフトを保護する役割があり、ローターが正しい位置を保持し、ローターとステーター間のギャプを防止します。

スリーブベアリングとそのラベル付きコンポーネントの図
スリーブベアリングの図

シャフトとスリーブの間のギャップを正しいサイズにするために、バランス取りが必要になる場合もあります。スペースが小さすぎると摩擦が増し、ファンのスタートが硬くなりより多くの電力を消費することになります。ギャップが大きすぎると、今度はローターがぐらついてくる可能性があります。スリーブ構造の2つ目のデメリットは、ローターを定位置に保持する唯一の物理的媒体がスリーブであるため、時間の経過とともにシャフトがベアリングの穴を摩耗してしまいます。この現象は、ローターが常に同じ方向に回転している場合は更に悪化し、結果的にこの穴が楕円形になり、ノイズが発生したり、製品寿命を劣化させます。ファンが動き回ったり向きを変えて動くと、このベアリングが異なる部位で摩耗して不均一になり、ぐらつきや悪化したノイズへと繋がります。さらに、このスリープタイプの構造では、シャフトのさらなる摩擦を引き起こしたりガスの放出を阻止してしまう原因となる潤滑剤の漏出防止の目的で、オイルリングとマイラーワッシャーが必要です。行き場をなくしたガスは窒化物粒子に凝固し、ファンの動作を妨げたり、動作寿命を劣化させる可能性があります。

スリーブベアリング・ファンは、特に常温や静止した機器で動作するような設計で多く見られます。例えば、コンピュータ、事務機器、HVACアプリケーションのような用途や産業キャビネットなどでスリーブベアリング・ファンは幅広く使用されています。

ボールベアリング・ファン

ボールベアリング・ファンの設計は、スリーブベアリング・ファンのデメリットを克服することを意図してつくられています。一般的には、摩耗が少なく、任意の方向や高温でも作動することができます。しかし、ボールベアリング・ファンは、スリーブベアリング・ファンの設計に比べるとより複雑かつ高価になり、頑丈さも劣ります。その結果、ボールベアリング・ファンでは衝撃が全体的な性能に大きく影響します。また、使用中のノイズも発生するので、導入できる場所も制限されます。

ボールベアリング・ファンは、不均一な摩耗やローターのぐらつきの問題を解決するためにシャフトの周りにリング状に配置されたボールを使用しています。ほとんどのファンのモーター設計は2つのベアリングを持ち、1つが他方の正面に位置する配置で、通常はこの2つがバネで分離されています。このベアリングはスリーブ設計と比較すると摩耗は少なく、ローター自体の重みで発生することがあるファンの羽の傾きをこのばねが支えることができます。ばねにシャフトが入っている配置の場合は、そのデバイスは摩耗や摩擦なしで任意の角度で動作することができ、より信頼性の高い設計となります。

ボールベアリング・ファンは、ノイズよりも性能、温度、MTBFが重要視される、使用頻度の高いコンピュータアプリケーションやデータセンターでも使用されています。また、冷却が必要な電子システム用や、乾燥用ドライヤーとしても、産業アプリケーションで広く使用されています。

ボールベアリングとそのラベル付きコンポーネントの図
ボール・ベアリングの図

omniCOOL™ システム・ファンのベアリング

ボールベアリングとスリーブベアリング設計のみが利用できる唯一のオプションというわけではありません。CUIでは3番目のオプションとして、磁気のローターバランシング(磁気構造とも呼ばれる)と改善されたスリーブベアリングを使用したシステムがあり、他のファンの設計のデメリットを補正します。この3つ目のベアリングタイプはomniCOOL™ システムと言います。

omniCOOLシステムの磁気構造により、ローターはコマのように機能し、落ちることなく任意の角度で動作することができます。磁気構造部はローター前部に配置され、その磁束はモータシャフトの方向に平行に流れます。その部分では、磁気構造はローターの角度に関係なくローターを一様にひきつけます。

omniCOOLシステム付きファンモーターとラベル付きコンポーネントの図
omniCOOLシステム付きファン・モーターの図

シャフトの先端は、ベアリング穴の前にあるサポートキャップを突き抜ける位置にあり、ローラーの回転ポイントを成形します。この方式ではシャフトとベアリングスリーブ両方からローターの重みを取り除きます。磁場はシャフトを引き下げるので、重力の中心を下げて、その結果傾きとぐらつきを最小化します。これにより任意の角度でファンを使用しなければならない場合にも対応することができ、摩耗も最小化します。

磁気構造は、従来のスリーブベアリングにも、ボールベアリングのファンにも適用可能で、前に述べた数々の問題をある程度までですが緩和することに役立ちます。更なる改善として、omniCOOLシステムは、接触発生部分の耐性を上げる強化が施されている、高度なベアリング設計を使用しています。硬化されたベアリング設計は、最高90°Cの温度での動作が可能です。

摩擦の低減により、潤滑剤の使用量も軽減し、オイルリングやマイラーワッシャーを除去することができます。もう一つの摩耗の原因であった箇所が排除されます。これによりノイズも少なくなり、スタート時の抵抗も軽減し、部品数も減少しました。使用する部品が少ないということは、omniCOOLシステムは他の設計と比較するとメンテナンスが容易でより信頼性が増すということです。

従来のファン設計にあるギャップに橋を架ける

omniCOOLシステムはボールベアリングとスリーブベアリング・ファン設計両方のマイナス要素を緩和し、その結果、静かでコスト効率が高く、任意の角度で動作することができる堅牢なファンです。他の2つのタイプのファンの構造からデメリットをなくすことで、omniCOOLシステムはどちらのファンの置き換えとしても使用でき、両方の設計のファンのメリットも提供します。スリーブベースの設計が好まれるアプリケーションにおいては、さらに拡張された寿命と任意の方向での使用が可能な、低ノイズで堅牢、かつ信頼性の高い代替オプションが持てるようになりました。高性能なボールベアリング設計を必要とするこのようなアプリケーションでは、改善された衝撃耐性とさらに堅牢な構造を手に入れながら、同時により高い温度に対する耐性と低摩損も保持できます。設計者達は、妥協を強いられる代わりに、この2つの世界の一番良いところを提供するファン構造を手にすることができます。

役に立つリソース

omniCOOLシステムを搭載したCUIのファン全製品をご覧ください。
omniCOOLシステムに関する技術論文をご覧ください。

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Ryan Smoot

Ryan Smoot

技術サポートエンジニア

Ryan SmootはCUI製品に関する幅広い知識を持っており、多岐にわたる分野の技術サポートとアプリケーションサポートを提供しています。彼が管理するCUIの堅牢な3Dモデルカタログは、エンジニアにとって製品設計の合理化に役立つ極めて有益なリソースを提供しています。プライベートな時間では、Ryanは妻や生まれたばかりの子供と一緒にランニングやアウトドアを楽しんでいます。

 
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