EMI電源フィルタの選択方法

2019年8月6日Ron Stull著

EMI電源フィルタの選択方法

スイッチモード電源は、電磁ノイズ(EMI)に対して本質的にノイズが多いものとなっています。高電圧と電流ノードの高速スイッチングにより、回路内の比較的大きなdi/dt値とdv/dt値へとつながり、周波数範囲全体でノイズの発生につながります。ほとんどの国の規制機関では、放射される可能性のある電磁ノイズの量に制限量を設定しています。その結果、ノイズ源の緩和と残留ノイズのフィルタリングのために多大な時間と労力が費やされています。しかしながら、これらの電源は単体で試験された場合は規制に準拠するものの、システムに追加すると意図しない電磁ノイズにつながる可能性があり、規制承認を得るためには追加のフィルタリングが必要となります。既製品のEMIフィルターは、正しく選択すれば放出を改善し、規制に準拠する簡単な解決方法となります。

EMIと電磁場適合性の背景

電磁場適合性(EMC)に対応する場合、問題はソース、パス、レセプターの3つのコンポーネントに分けられます。

ソースは、干渉を生成するデバイスまたは回路ノードです。電源本体に加え、これには、マイクロプロセッサ、ビデオドライバー、RF発生器などのその他のデバイスが含まれる場合があります。

ソースが生成するノイズには2つのパスがあり、これは伝播します。まず放射されたパスで、これは電磁エネルギーが空間に伝播し、他のシステムへと結合していきます。2番目は、システムの導線(たとえば、PCBトレースとPCB面、コンポーネントのリード、入力線など)を介して伝搬するシグナルが通る伝導パスです。これが主電線へと戻り、その線を介して電源供給するその他機器に影響を及ぼす可能性があります。

レセプターは、ソースが放出したノイズを拾い、干渉によって影響を受けるデバイスです。レセプターは、あらゆるアナログ回路とデジタル回路が含まれる可能性があります。

EMCのテスト時、レギュレータは伝動ノイズと電磁ノイズを別々にテストします。それぞれが独自の制限と周波数範囲を持ち、除去方法を従えています。放射されるノイズは高周波数範囲(通常30Mhz~1,000Mhz)をカバーし、このノイズが空間を伝播するにつれ、制御方法は制限されます。さらに、ソースでノイズを調節するために適切なレイアウトと回路設計技術を使うことに加え、シールドを使用して放射ノイズを封じ込めることができます。一方、伝導ノイズは導体を介して伝搬するため、低周波数範囲(通常 0.15Mhz~30Mhz)をカバーし、電気フィルタコンポーネントを使用してコントロールされます。EMIフィルタリングを追加する際、設計者は個別に設計するか、規制のEMIフィルタを使用するかを選べます。

EMIフィルタとシステム要件

既製品のEMIフィルタを選択したエンジニアの場合、システムに適切なフィルターを選択する方法について、少々混乱することがあるかもしれません。最初のステップは、EMIフィルタが基本的な電気要件を満たしていることを確認することです。確認すべき重要な項目は、次のとおりです。

  • 定格電圧:入力に印加できる最大電圧。これを超過すると、フィルタ内部のコンポーネントが損傷することがあります。
  • 絶縁電圧:各入力線とアース/シャーシ接地間で測定される絶縁定格(入力と出力間の分離はなし)。
  • 定格電流:指定された動作温度範囲内でEMIフィルタを通過する可能性がある最大電流。
  • 動作温度:デバイスが動作できる最高温度。
  • 漏れ電流:アース/シャーシ接地を通過する電流。EMIフィルターは、電源自体の漏れ電流に加え、漏れ電流に影響を及ぼします。安全性に関する懸念により漏れ電流は制限されており、フィルターの漏洩への影響については設計者が考慮すべきです。

EMI電源フィルタの回路例
内部フィルタ回路の例

EMIフィルタリングの特性

システムの動作条件を満たすEMIフィルタを見つけたら、実際のフィルタリング特性を確認する必要があります。データシートには通常、挿入損失のグラフがあります。1つが一般モードで、もう1つが差動モードのものです。これらのグラフは、周波数に関して、入力と出力間で信号がどれほど減衰するかをユーザーに示します。

挿入損失は、フィルタ入力時の信号に対する出力時の信号の比率です。周波数範囲が大きいことから、通常はデシベルで測定され、次の方程式で示されます。

挿入損失(dB) = 20 Log 10(フィルタされていないシグナル/フィルタされたシグナル)

これは比率のルールを使用して、フィルタされたシグナルを表すために書き変えられます。

フィルタされたシグナル(dB) = フィルタされていないシグナル - 挿入損失(dB))

共通モードおよび差動モードの挿入損失グラフの例 共通モードおよび差動モードの挿入損失グラフの例
挿入損失のグラフ

グラフがなく、代わりにノイズの減衰値がデータシートに掲載されている場合もあります。これは通常、減衰が適用される周波数範囲と一致します。例えば、データシートで150Khzと1Ghzの間の減衰が30dBとされているとします。

フィルタデータを確認する際に最後に留意すべき項目は、ソースとロードインピーダンスがフィルタの動向を変更するということです。データシートに記載されている挿入損失は、インピーダンス(通常50Ω)を使用して取得されますが、これは適用するシステムの挿入損失とは大きく異なる場合があります。そのため、フィルタを使用することは論文上は良好に見えますが、回路でフィルタをテストし、エンドシステムの実際のソースとロード条件でその性能を検証することが重要です。

EMIフィルタの選択

EMIフィルタを選択する場合、伝導ノイズのベースラインをクリアするために、フィルタをかける電源がすでに予備的なEMCテストをパスしていることが理想的です。このテスト結果で、設計者はユニットがどの周波数でパスできなかったかや、その程度を知ることができます。この情報をEMIフィルタの挿入損失グラフと比較して、このフィルタがEMCテストをパスするために十分な減衰を、パスしなかった各周波数において提供するかどうかを判断することができます。例えば、コモンモードの放出テストで500Khzで64dBでパスできなかったとすると、これは下記のEMIフィルタのコモンモード挿入損失グラフによると減衰レベルが500Khzで、およそ75dBである事を示しています。もしこのEMIフィルタを使用した場合、EMCテストは500Khzで11dBマージンでパスすると予測できます。

グラフ例ではEMI電源フィルタ追加前と追加後の発光とフィルタの挿入損失のグラフを示しています。 グラフ例ではEMI電源フィルタ追加前と追加後の発光とフィルタの挿入損失のグラフを示しています。
EMI電源フィルタ追加前と追加後の発光(上)とフィルタの挿入損失のグラフ(下)を示すグラフの例

周波数スペクトル全体での減衰は一貫していないことから、EMCテストをパスしなかったすべての周波数にマージンを持たせた周波数が適切に減衰されていることを確認することが大切です。データシートが挿入損失グラフではなく、単一の減衰値を記載している場合、この値がEMCテストをパスしなかった周波数に最大限にマージンを持たせた値よりも大きいことを確認しなければなりません。

結論

スイッチング電源は、電磁ノイズ(EMI)の主な放出源です。これを規制することは、他の電子機器との干渉を防止するために必要不可欠です。すべてとは言えませんが、ほとんどのスイッチング電源は入力側にフィルタがありますが、アプリケーションが多岐に渡ることから、これが完全なシステムに統合されると最終的なEMCテストにパスするために十分であるとは必ずしも言えません。内蔵フィルタが十分ではない場合、既製品のEMIフィルタは電磁ノイズを低減するためのスピーディかつ簡単な解決法で、個別のソリューションをゼロから設計するよりも時間を節約することができます。CUIでは、システムの電磁適合ニーズに対して簡単に最適化できる、複数のAC-DC EMI 電源フィルタDC-DC EMI 電源フィルタをボードマウント型、シャーシスマウント、DINレール構成で提供しています。

その他のリソース


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Ron Stull

Ron Stull

電力システムエンジニア

Ron Stullは2009年にCUIに参入して以来、アナログおよびデジタル電源、そしてAC-DCおよびDC-DC電力変換の分野で知識と経験を積み重ねてきました。彼はこれまで、アプリケーションサポート、テスト、検証、設計などの責任者としてCUIのエンジニアリングチームで重要な役割を担ってきました。Ronは、電力エンジニアリング以外では、ギターを弾いたり、ランニングをしたり、アメリカの国立公園をすべて訪れることを目標に妻とアウトドアを楽しんでいます。

 
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