電源におけるEMIとEMCの間の違いは何ですか?

2020年1月28日 Bruce Rose

電源におけるEMIとEMCの間の違いは何ですか?

製品デザインに関連する電気ノイズに関する議論には、しばしば電磁干渉(EMI)および電磁互換性(EMC)といわれるものが見られます。「EMIとEMCの違いは何ですか?」という混乱がよく見られます。シンプルな回答としては、いずれかの用語の正確な意味についての共通の合意はなく、従って、類似した概念に対してどちらの用語も使うことができます。

国際電気標準会議(IEC)はEMCの定義として、「機器やシステムがその環境にあるあらゆるものに過度の電磁妨害を導入することなく、電磁環境で十分に機能する能力」としています。このフレーズは、「外部の障害に耐え、外界を妨げない」と簡単に言い換えることができます。

IECはEMIの定義として、「機器またはトランスミッション・チャネルの性能劣化、または電磁障害によるシステムの劣化」としています。このフレーズは、「外部障害による性能の劣化」と簡単に言い換えることができます。

IECは上記に説明された定義を表しますが、製品が動作しているときにいかに環境に影響を及ぼすかのコンセプトとしてEMIを定義する電源ベンダーもあり、一方でEMCは、製品の周囲の環境が製品の動作にいかに影響するかに関連します。定義に関する合意が不十分であるため、本誌では、「危害なし」または「外部障害を許容」としてアクティビティを分類します。

危害なし

以下に説明するのは、電源および関連するシステム設計によって引き起こされる 3 つの一般的な障害です。すなわち、伝導放出、放射性放出や高調波があります。これらの障害は、問題のある機器に近い電子機器の機能を劣化させたり、無効にする可能性があります。

伝導放出

「危害なし」に関連する最も一般的な懸念事項は、伝導と放射性両方の放出です。伝導放出は、製品が電力導体に沿って電源にエネルギーを戻すことによって動作する環境に影響をおよぼします。規制当局は、150 KHz~ 30 MHz の周波数範囲において、許容される最大レベルの伝導エネルギーを定義しました。伝導放出を測定する場合、ラインインピーダンス安定化ネットワーク(LISN)は、テストされているデバイス(DUT)と電源の間に設置されます。LISNは、電源とDUTとの間に標準的な絶縁を提供し、また伝導エネルギーが測定されたところ全体で標準化された負荷も提供します。

伝導放出測定のためのLISNを示す図
伝導放出を測定するためのLISN

ほとんどの電源には、電源によって作成される伝導放出を抑制するための入力部分に、内部フィルターコンポーネントが含まれています。電源がシステム負荷に接続されている場合、システム負荷からの意図していない信号が電源を通して伝導され、電源に対する入力部分に現れることがあります。許容できない伝導放出がシステム構成で測定された場合は、システムエンジニアは許容できない放出を減衰するためにコンポーネントを追加する必要があります。

放射性放出

その名のとおり、放射性放出は電磁エネルギーを放射することによって製品が動作する環境に影響を与えます。放射性放出は、30 MHz~1 GHz(そして時にはより高い周波数でも)の周波数範囲で制御されます。放射性放出は、システム負荷だけでなく、電源または電源とシステム負荷との間の相互作用から引き起こされることもあります。電源からの導体は、エネルギーの放射に対する意図しないアンテナとして機能することができます。電源から、または電源とシステム負荷との間の相互作用から生じる許容できない放射放出は、通常電源とシステム負荷との間の導体にフィルターコンポーネントを配置することで対処します。これらのフィルターコンポーネントは、外部電源導体によって放射されるエネルギーを減衰させるのに役立ちます。無響室で動作する水平変更と垂直偏光のブロードバンドアンテナは、放射性放出を検出および測定するために使用されます。

放射放出のモニタリング用ブロードバンドアンテナの図
放射放出を監視するためのブロードバンドアンテナ

高調波

高調波の場合は、懸念事項となるのは、AC電源上の多くの負荷が純粋に抵抗性ではなく、従って電源電圧が正弦波であっても、付加電圧はそうではないことです。このコンセプトの簡単な例として、入力ブリッジ整流器とフィルターコンデンサに基づいた電源によって存在する負荷です。このブリッジ整流器は、入力電圧がバルクコンデンサ上の電圧より大きい場合に、電圧のフェーズ中のみ電流を消費しバルクコンデンサに荷電します。ブリッジ整流器の入力上で得られた負荷電流の波形は、ライン電圧の周波数の2倍で発生する一連の低デューティサイクルのパルスです。この低いデューティサイクルのパルス負荷電流は、ライン電圧の高調波周波数で大量のエネルギーを消費します。電源とライン電圧の送信システムはいずれも、これらの高調波でエネルギーを提供するために最適化はされておらず、従ってこのシステムは最適の水準に次ぐ形で動作します。電源によって消費される高調波エネルギーを低減するために、一部の電源では力率補正(PFC)回路が必要です。IEC 61000-3-2 高調波電流の仕様は、第2次から第40次高調波に対応し、最大 16 Aまでの定格電流を持つ機器に適用されます。

AC-DC電源への入力での電圧と電流波形を示すグラフ AC-DC電源への入力での電圧と電流波形を示すグラフ
AC-DC電源への入力での電圧と電流の波形

内部で生成された高調波障害はAC電源に対してのみ適用され、一方、伝導放出と放射性放出は、ACとDCの両方の電源に適用されます。

外部障害を許容

犠牲となる電源および関連するシステムのための規制仕様によって管理される障害には多くのカテゴリーがあります。その一部には、静電気放電(ESD)、高速化と電気雑音(EFT)、サージ、電圧ディップとショートがあります。このような外部障害は、電源または関連システムのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。設計とテストが実行され、電源やシステムがこれらの障害の存在下でも適切に動作できることを確認します。リストされたEFTの障害、サージ、電圧ディップとショートは、電源の入力に対して適用される電圧の品質に関連しています。外部ESD障害は、操作環境との相互作用によって生成されます。

概要

EMCおよびEMIの概念は密接に関連し合っており、この用語の一般的な定義はいずれかの用語に関連している可能性があります。すべてのコンセプトを網羅する緩い定義は、「外部の障害に耐え、外部世界に障害を与えない」になります。この定義は両方に通じるものではありませんが、関連する障害は、コンプライアンス機関によって指定および規制されています。CUIのような電源ベンダーは、規制要件に精通しており、お客様が準拠した製品を製造するサポートをすることができます。

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Bruce Rose

主席アプリケーションエンジニア

Bruce Rose は、エレクトロニクス業界で長年にわたり、設計、販売、マーケティングを担当し、アナログ回路と電力供給に重点を置いてきました。国際的なワークショップを開催し議長を務め、40以上の技術会議で論文の出版や発表をするなどの職務経験に加え、7件の特許を取得しています。Bruce は自分の仕事はもちろん、家族でハイキング、サイクリング、カヌーを楽しみ、また本格的な模型飛行機にも情熱を注いでいます。

 
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