電源のリップルおよび過渡の測定方法

2019年4月23日Ron Stullによる

電源のリップルおよび過渡の測定方法

電源の評価をする際、2つの最も一般的な仕様はリップル過渡です。これは単純な測定のようにも見えますが、正しいデータを得るためには留意すべき2つの重要な側面が存在します。1つ目はオシロスコーププローブを使用した場合の測定手法で、2番目はデータが指定された場合の特定条件に関係します。

オシロスコーププローブを用いた適正な測定手法

リップルや過渡などの測定を試みる前に、オシロスコープを用いたプローブ測定の背景について少しお話ししましょう。対象となるシグナルの測定は、多くの場合ミリボルトレベルになることから、増幅された内部シグナルや、拾われる外部シグナルは簡単に隠れてしまう、またはシグナルに歪みが生じてしまうことがあり、不正確な結果へとつながります。そのため、適正なプローブ測定手法でこれを軽減することが極めて重要となります。

試験者が良好な測定をおこなうための最も重要な点は、プローブが生成するグランドループを最小限に抑えることです。プロープのリターンパスによって作成されるこのループは、内部ノイズを増幅し、外部ノイズを拾ってしまうインダクタンスの原因となります。プローブには通常、下図のようなアリゲーター型のアースクリップが付属しています。このアースクリップは、接続は簡単ですが、今回の測定には推奨されない大きなグランドループへと導きます。これに代わって、小さなグランドループを実現するためにより一般的で好ましいとされる、「チップとバレル」、そして「紙クリップ」のの2つの方法があります。

長いアースクリップによって生じる大型のプローブグランドループの例
長いアースクリップによって生じる大型のグランドループ

チップとバレルの方法は、アースカバーとプローブクリップを除去し、プローブのチップ(先端)とバレル(筒)が露出しています。その後、プローブのチップを出力電圧へと当て、バレルは先端に非常に近い点になるような角度で接触します。この方法の欠点は、アクセス可能なプローブのポイント、またはチップとバレルの両方を当てられるポイントが、出力コンデンサからの理想的な距離にはならないことがあります。理想的には、プローブはできるだけ出力コンデンサに近付けなければなりません。

チップとバレルのプローブ法の最適な設置の例
チップとバレルの方法の理想的な設置

一方、紙クリップの方法は、チップとバレルの方法を考慮して、短いリードが付いたワイヤの小さなコイルをバレルに追加しました。これによりプローブのチップがピンセットのようになり、小さなループエリアを保ちながら、より柔軟にプローブ位置を対応させることができるようになります。

紙クリッププローブ方式の最適な設定の例
紙クリップ方式の最適な設定

これらの方法だけが良好なシグナルを得るための手段と言うわけではありませんが、どのような方法を取る場合でも、グランドループをできるだけ小さくするように努めることが必要です。

リップルとノイズ

リップルは、電源の内部スイッチが生じる出力電圧の生来のACコンポーネントです。ノイズは、出力電圧に高周波電圧のスパイクが現れる電源内に付随的に発生する現象です。データシートでは、リップルやノイズによって生じる出力電圧の最大ピーク間の偏差が指定されています。前に述べたように、測定が電源のリップルやノイズを正確に表す良いプローブ法を使用することが重要です。

リップルとノイズをテストする際は、注意すべき条件がいくつかあります。第一に、負荷はリップルに対して大きく影響するため、データシート上で通常は全負荷として定められている負荷と同じ条件のもとで測定をおこなうことが重要です。また入力電圧もリップルに影響するため、対象となる入力電圧すべてにおいてテストを行う必要があります。電気的な条件に加えて、多くの製造元は、測定目的で電源の出力に適用する、一部の外部コンデンサを指定しています(通常は、10 µレベルには電解、0.1 µFレベルにはセラミックとなります)。プローブはこのコンデンサの近くに配置しなければなりません。最後に、通常この測定では、オシロスコープチャンネルに20 MHzのバンド幅制限が指定されています。

一般的には、このテストを行うために必要なものはスコーププローブ1台のみで、このプローブは、上記で述べたプローブ測定法を使用するならば、出力コンデンサや指定された外部コンデンサを横切るように設置します。

プローブ測定のリップルとノイズの好例と悪例を示したグラフ
プローブ測定の好例と悪例:大きなグランドループのリップルとノイズの測定(左)および「紙クリップ」法(右)

過渡応答

過渡応答は、負荷の変化によって変動することがある出力電圧の量です。負荷が変化した場合、電源は即座に新しい条件に反応することができず、保有エネルギーは過剰または不足のいずれかとなってしまいます。過剰エネルギーまたはエネルギー不足は、出力コンデンサの責任となります。このエネルギーの過剰や不足は、負荷に耐えるために電荷を消費して電圧の低下につながるか、あるいは過剰な分のエネルギーを蓄えて電圧の増加につながります。数回のスイッチングサイクルを経て出力電圧は公称値に戻りますが、電源は負荷に必要とされるエネルギーのみを蓄えるように調節します。過渡応答を測定する際、出力電圧が公称値から変動する量、回復する時間、または指定された規制限度外に電圧が落ち込む時間は、すべて関心を持つべき要素です。

条件が負荷と入力電圧に制限されるリップルやノイズと違い、過渡応答は、測定に影響する可能性があるその他の条件を持っています。注意すべき重要な条件として、印加する荷電ステップのスルーレート、開始時の電流、および終了時の電流があります。負荷の変化が早いほど、電源が変化する状況に追いつくことができるまで出力は変動することから、スルーレートは過渡応答に大きな影響を及ぼします。開始および終了時の電流レベルも影響を及ぼす可能性があります。電源は軽度の負荷では異なる動向を示すことが多く、これらの複数の領域を横切る過渡は、過渡が単一範囲で発生する場合よりも、電源が異なる反応を示す原因となることがあります。開始電流と終了電流、そしてスルーレートは、電流が変化しており、特定条件と合致しなければならない時間も特定します。

過渡応答測定をおこなうには、ユーザーは2つのスコープチャンネルが必要となります。最初のプローブは、出力ピンか調節ポイントの近くにある電源の出力を横切っていなければなりません。調節ポイントから離れて出力電圧を測定すると、出力配線での電圧ドロップによる、2つの負荷ステータスの間にDCオフセットを生じます。2番目のプローブは、過渡負荷の変化に同期した電流またはシグナルである必要があります。このプローブはトリガーとして使われ、そのため、結果として生じる出力電圧の偏差がはっきりと見えるようになります。

出力電圧と負荷を使用した過渡応答測定を示したグラフ
出力電圧(上)と負荷(下)を用いた過渡応答測定

結論

リップルと過渡は電源測定の共通の部分です。オシロスコープでこれらの特性を測定する場合、プローブのループ面積を最小にして、問題のシグナルの歪みを避けることが重要です。適切なプロ―プ測定技術に加え、データシートが定める条件には、比較を有効にするために、これらの測定が知られたものであり、かつ準拠している必要があることが明記されています。

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Ron Stull

Ron Stull

電力システムエンジニア

Ron Stullは2009年にCUIに参入して以来、アナログおよびデジタル電源、そしてAC-DCおよびDC-DC電力変換の分野で知識と経験を積み重ねてきました。彼はこれまで、アプリケーションサポート、テスト、検証、設計などの責任者としてCUIのエンジニアリングチームで重要な役割を担ってきました。Ronは、電力エンジニアリング以外では、ギターを弾いたり、ランニングをしたり、アメリカの国立公園をすべて訪れることを目標に妻とアウトドアを楽しんでいます。

 
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