USB Type CとUSB 3.2 – 接続について理解する

USB Type CとUSB 3.2 – 接続について理解する

Bruce Rose/著

USB規格は長年に渡って採用されてきており、技術のニーズと機能が増大するにつれて、進化・改善が行われてきました。USB Implementers Forum(USB-IF)は、最近USB Type Cコネクターやその他製品の仕様をリリースしました。下表では、USB 1.0から始まり、USB 3.2、そして現在のUSB4に至るまでのUSB信号規格の発展と、その様々なモードやそれぞれに導入されているデータ転送レートを見ることができます。USBタイプCコネクタは、以前のコネクタ規格に加えてさらに多くの強化された機能も含んでいます。これらの改良点を理解することで、エンジニアはこのコネクタと様々な信号仕様を適切な方法で活用し、設計のパフォーマンスを劇的に向上させることができます。

リリース名 リリース日 ブランド名 総データレート
USB 1.0 1996年1月 低速度 1.5Mbit/s(187.5KB/s)
フルスピード 12Mbit/s(1.5MB/s)
USB 1.1 1998年1月 USB1.0に共通の問題点は対処済みデータレートは同じまま。
USB 2.0 2000年4月 高速、さらにハイスピード 480Mbit/s(60MB/s)
USB 3.2 Gen 1* 2017年8月 SuperSpeed USB 5 Gbps 5Gbit/s(625MB/s)
USB 3.2 Gen 2** 2017年8月 SuperSpeed USB 10 Gbps 10Gbit/s(1.25GB/s)
USB 3.2 Gen 2x2 2017年8月 SuperSpeed USB 20 Gbps 20Gbit/s(2.5GB/s)
USB4 Gen 2x2 2019年8月 USB4 20 Gbps 20Gbit/s(2.5GB/s)
USB4 Gen 3x2 2019年8月 USB4 40 Gbps 40Gbit/s(5GB/s)
*旧称USB 3.1 Gen 1およびUSB 3.0
**旧称USB 3.1 Gen 2

USB Type CとUSB3.2との間の誤解

USB Type CコネクターとUSB3.2Gen2(以前のUSB 3.1 Gen 2)の関係においては、しばしば混乱が発生します。USB 3.2規格は電気信号に対してのみ適用されているのに対し、USB Type C規格は物理的なコネクターのみを定義します。ほとんどのシステム設計者たちは、USB Type Cコネクターとケーブルを介してUSB 3.2信号で通信することを選択しますが、USB Type C仕様に適合しないコネクターを介してUSB 3.2 Gen 1、Gen 2、Gen 2x2準拠信号を送受信することも可能です。製品設計者は、システムを他のシステムから分離したり、独自のハードウェアが確実に使用されているかどうかを確認する場合、USB 3.2信号規格と各自の専有コネクターを使用してこのような構成を実装することができます。

同様に、USBタイプCコネクタは、USB信号規格に適合しない信号の送受信にも使用することができます。この実装は、USB Type Cコネクターおよびケーブルが幅広く入手可能で、かつコストが安価であることの恩恵を受けていますが、ユーザーは非適合の専有システムからUSB 3.2規格適合のシステムへと接続することで、一方または両方のシステムを破損してしまうリスクがあります。

また、USB規格は、USBタイプCコネクタとケーブルを使用してレガシー(USB3.2Gen2以前)USBシグナリング構成を送信できることも留意すべき点です。これらの構成ではシステムに損傷を与えることなく、システムが一般的な通信と電源設定をネゴシエートしたうえで適切な電源供給とデータ転送をおこないます。

USBタイプCの利点

USBタイプCコネクタは、前世代のコネクタと比較すると多くの利点持った設計となっています。強化機能として、より小型のパッケージサイズ、より多くのコンダクタ、より高い電圧定格と電流定格、さらに優れた信号帯域などがあります。USBタイプCプラグとレセプタクルのサイズが縮小したことで、スペースに限りのあるアプリケーションに対しても幅広く使用できるようになりました。さらに、このプラグとレセプタクルは、標準方向でも上下反対でも接続可能で、プラグのレセプタクルへの挿入をすばやくかつ簡単におこなうことができます。

USBタイプA、B、Cコネクタのコンダクタの比較
USBタイプA、タイプBおよびタイプCのコンダクタ数の比較の図

USBタイプA、タイプBコネクタはそれぞれ4または5つのコンダクタを特定します。これに対しUSBタイプCコネクタは、24コンタクトを採用し、標準USBタイプAコネクタの嵌合サイクル1,500回と比較すると、最大10,000回の挿抜サイクルという向上した耐久性レートを持っています。各USBタイプCコネクタには4つの電源および接地コンタクトがあり、全体としては5Aの電流まで可能です。USBタイプCコネクタは、より高い電流定格に加え、電源と接地ピンとの間に最大20Vの電圧定格を持ち、100Wの電源供給が可能です。2021年に発表されたThe USB PD 3.1規格では、その後、その電力転送能力が最大240Wまで拡大されました。USB Power Delivery(PD)仕様は、USB Type Cコネクターで利用できるより高レベルの電力供給の実装に関する情報を提供します。USB Type CとUSB 3.2は別々に定義された2つの規格です。USB Type CとUSB PDは同じ関係にあることにも注意してください。USBタイプCコネクタは、USB PD規格をサポートするように設計されおり、デバイスのホストコントローラとケーブルもこの規格をサポートするように設定する必要があります。

USBパワーデリバリー仕様
仕様 最大電源 最大電圧 最大電流
USB 2.0 2.5W 5V 500mA
USB 3.0および3.1 4.5W 5V 900mA
USB BC 1.2 7.5W 5V 1.5A
USBタイプ-C1.2 15W 5V 3A
USB PD 3.0 100W 5/9/15/20 V 5A
USB PD 3.1 240W 28/36/48 V 5A

最後に、USBタイプCコネクタは、2つのデータピンのそれぞれを介した10Gbpsのデータ転送をサポートします。この帯域幅サポートにより、両方のデータピンペアが USB 3.2 2x2 規格で指定されているとおりに使用される場合、20 Gbps のデータ転送速度、およびUSB-IFで2019 年 8 月に発表された USB4 規格で指定されている最大 40 Gbps のデータ転送が可能になります。

USB3.2に最適化する

前に述べたように、USB 3.2の仕様は一連のデータや電源信号、およびこれらの信号特性を定義します。しかし、これらの信号と共に使用されるケーブルについては指定していません。USB 3.2信号の転送に使用するケーブルは、電流、電圧、信号とUSB 3.2信号を処理して劣化させないために十分なレベルの信号インテグリティ特性を伝送する必要があるということも注意すべき点です。USB 3.2 Gen 2(以前のUSB 3.1 Gen 2)の仕様は10 Gbps通信レートをサポートし、USB Type Cコネクターはこの速度以上で信号インテグリティを保つように設計されていますが、ケーブル長やケーブル架設の品質は共に通信帯域を制限する要因となり得ます。

USBタイプCマウント構成

USBタイプCレセプタクルには2つのバージョンがあります。エンジニアはコネクタをPCB(SMT)の上にマウントするか、PCBの空いたスペースにマウント(ミッドマウント)するかを選択することができます。SMTタイプのレセプタクルは、PCBに高さが加わり製品設計内にコネクタが必要となります。ミッドマウントタイプのレセプタクルは、よりコンパクトな設計が可能ですが、PCBトレースをコネクタの下に配置することはできません。

USB SMTおよびミッドマウント構成
USB SMTとミッドマウント構成の図

結論

USB規格は、信号、コネクタおよびケーブルに対して広く適用されてきています。最近リリースされたUSB 3.2およびUSB Type Cコネクターの仕様は、標準化された高速かつハイパワーの信号伝送が可能になります。CUI DevicesのUSB Type Cプラグおよびリセプタクルは、USB 2.0、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2x2、またはUSB4規格に適合するよう設計されており、最大で40Gbpsのデータ転送速度を実現します。また、CUI Devicesは、幅広いType Cプラグ付きUSBケーブルと、給電専用USB Type Cレセプタクルも提供しており、充電または電源が唯一の機能である設計に対してもコスト効果の高いソリューションを提供します。

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Bruce Rose

Bruce Rose

技術コントリビューター

Bruce Roseは、エレクトロニクス業界で長年にわたり、設計、販売、マーケティングを担当し、アナログ回路と電力供給に重点を置いてきました。国際的なワークショップを開催し議長を務め、40以上の技術会議で論文の出版や発表をするなどの職務経験に加え、7件の特許を取得しています。Bruceは自分の仕事はもちろん、家族でハイキング、サイクリング、カヌーを楽しみ、また本格的な模型飛行機にも情熱を注いでいます。