BLDCモーターを転流するためのより良い方法

2019年3月12日 Jason Kelly

BLDCモーターを転流するためのより良い方法
ブラシレス直流電子モーター、あるいはBLDCモーターは、外部モーターコントローラを介してDC電源によって駆動する電気的に転流されたモーターです。ブラシ付きモーターとは異なり、BLDCモーターは外部コントローラーに依存して転流をおこないます。コミュテーション(転流)とはモーター位相での電流を切り替えてモーションを発生させるプロセスです。ブラシ付きモーターは、このプロセスを回転ごとに2回処理する物理的なブラシを持っています。一方、BLDCモーターはブラシを持たず、設計の性質上、転流のための極数は任意の数にすることもできます。このブログ記事では、BLDCモーターの基礎を確認し、転流BLDCモーターに共通した方法について注目しながら、位置フィードバックを収集するための新しいソリューションを紹介します。

BLDCモーター転流の基礎

BLDCモーターで最も一般的な構成は3相です。相数はステータの巻線数と一致し、一方、ローターの極はアプリケーションに応じてどのような極数(偶数)にすることもできます。BLDCモーターのローターは回転するステータの極によって影響を受けることから、3相モーターを効果的に駆動するためにはステータの極の位置を追跡する必要があります。従って、モーターのコントローラーが、3つのモーター位相に6ステップの転流パターンを生成するために使用されます。この6ステップ、あるいは転流位相が、ローターの永久磁石がモーターシャフトを動かす要因となる電磁場を動かします。   

BLDCモーター転流のための6ステップパターンを示した図
BLDCモーター転流のための6ステップパターン

このコントローラーが効率的にモーターを転流するには、ローターの正確な位置情報が常に必要です。ブラシレスモーターの登場以来、ホール効果センサーは転流フィードバックによく使われてきました。典型的な例では、3相制御で3つのセンサーが必要です。ホール効果センサーは、ローターの位置を検出するためにモーターのステータに組み込まれており、これはモーターを駆動するための3相ブリッジにあるトランジスタを切り替えるために使用されます。3つのセンサー出力は、U、V、およびWチャネルとして表記されます。残念ながら、位置フィードバックの方法にはいくつかの欠点があります。ホール効果センサーのBOMコストの低さに対して、これらのセンサーをBLDCに組み込むコストはモーター全体のコストの倍になることもあります。さらに、コントローラーがホール効果センサーから得られるのはモーター位置の部分的情報だけです。これは、適切な動作をおこなうのに精密な位置フィードバックが必須となるシステムでは、問題を発生させる事にもつながりかねません。

より優れた精度を提供するエンコーダー

現在、BLDCモーターを必要とするようなシステムでは、位置測定においてかつてないほどの厳しい精度が求められています。これを達成するために、BLDCモーターに、ホール効果センサーだけでなく、さらにインクリメント・エンコーダーを搭載することができます。これをおこなうことでシステムの位置フィードバックは改善されますが、今度は、モーターメーカーがモーター内にホールセンサーを、そしてアセンブリ後にインクリメント・エンコーダーを両方とも組み込む必要が出てきました。そこでより良い選択しとして使われているのが、ホール効果センサーを省き、インクリメント・エンコーダーをコミュテーション・エンコーダーで置き換える方法です。CUIのAMT31シリーズのようなコミュテーション・エンコーダーは、精密な位置追跡のためのインクリメント出力と、モーターの特定の極構成と一致する転流出力を備えています。CUIのデジタル型コミュテーション・エンコーダーは、極数、分解能、方位などのパラメータをプログラムすることが可能です。これにより、プロトタイプや試験段階で技術者はフレキシブルに対応することができ、さらに複数のデザインに渡りエンコーダーのSKU数を低減します。コミュテーション・エンコーダーとインクリメント・エンコーダー、そしてホールセンサーに関する詳細情報は、CUIの論文をご覧ください

転流モーターのアライメント

モーターに電流が印加されると、モーターは回転します。逆に言えば、モーターを回転させると、電流が発生します。BLDCモーターを回転させると、下図に近いような形で、3相の出力が見られます。コミュテーション・エンコーダー、あるいはHall効果センサーでもそれを適切にアライメントするには、発生する転流波形がバックEMFに対して整列されていなければなりません。従来、これは第2のモーターをまず駆動させ、オシロスコープで波形を観察することが必要となる、反復的なプロセスとなります。製造過程では、このプロセスは時間がかかり、高額な費用を要する可能性があります。

転流出力とモーター位相を示した図 バックEMF波形を示した図
転流出力とモーター位相

AMT静電容量エンコーダーを使うことで、アライメント作業が簡単になり、必要なのは電源だけになります。エンコーダーさえ設置すれば、ユーザーがしなければならないのは、AMTエンコーダーのスタート位置に相当する2つの相に電流を投入して、アライメントコマンドを送信するだけです。これをおこなう際は、ユーザーはエンコーダーの転流波形のスタート位置と、モーターのバックEMF波形を設定することが必須です。

アライメントの簡単さに加え、AMFエンコーダーの転流信号は、モーターの極に対してはるかに精密に整列します。コミュテーション・エンコーダーをモーターにアライメントするには、スタート位置(転流波形が始まる位置)を設定するだけです。これさえ適切におこなえば、この転流波形はモーターのバックEMF波形と完璧に一致するはずです。ただし、いつでも必ず達成できるわけではありません。ホールセンサーや光学エンコーダーとの通常のアライメントでは、±1電気角度のレベルです。一方、AMTエンコーダーでは、通常±0.1電気角度以内という、かなり優れた精密さを達成することができます。AMTエンコーダーの波形は、UとWチャンネルの両方が高い(上記波形においては3番目の状態)ときから始まります。お持ちのモーターの製造元から適切なEMF図面を入手して、アライメント中にどの位相に電流を供給すべきかを確認してください。

AMFコミュテーション・エンコーダーの方向設定

AMTシリーズは、極数や分解能などの特性がプログラム可能なだけでなく、コミューテーションのアプリケーションのための方向の設定もできます。この機能は、他社のコミュテーション・エンコーダーではほとんど提供されていない、CUI独自のオプションです。簡単に言うと、転流信号が前進するためのエンコーダーシャフトの回転方向を知ることができます。通常、コミュテーション・エンコーダーは、モーターのバックシャフトに設置されています。この場合、転流信号は、モーターが(モーターのバックから見た場合)反時計回りに回転する場合の状態を通して前進します。しかし、このエンコーダーをフロントシャフトに設置した場合は、エンコーダーを上下逆に設置したことになり、これではモーターを反時計回りに回転させると、エンコーダーのシャフトが実際は(エンコーダーの上から下へ見た場合)時計回りに回転してしまいます。つまり、これは下図にあるように、モーターの極はエンコーダーの極に対して逆方向に回転していることになります。プログラム可能なオプションがないその他のエンコーダーでは、同じタスクを実現するためにエンコーダーディスクか、U、V、Wチャネルを物理的に入れ替えることが必要になります。様々な方向要件を持った複数のBLDCモーターを使用するアプリケーションでは、このプログラム可能な機能が得に役立ちます。

バックEMFの逆方向に進む、転流波形を示した図
バックEMFの逆方向に進む、転流波形

結論

米国では、BLDCモーターは成長を続けており、要求が厳しい制御ループや高精度の位置検知フィードバックが必要なアプリケーションでは、特に優れた性能を発揮します。ホール効果センサーは、BOMコストの低さから長年採用すべきソリューションとされてきましたが、インクリメント・エンコーダーと共に使用しなければ、モーターの位置の全体像を把握することができないことが多々ありました。しかし、CUIのAMT31シリーズをはじめとするコミュテーション・エンコーダーによって、ホール効果センサーとインクリメント・エンコーダーを一緒に使う必要性がなくなり、一体型のソリューションが提供されます。CUIのAMT31コミュテーション・エンコーダーは、そのフレキシブルなプログラミング機能と簡単なインストールで、市販されている最も融通の利くオプションの1つとなりました。本ブログで概説した、コミュテーション・エンコーダーの原理をご覧になり基本的な理解を深めていただければ、コミュテーション・エンコーダーがお客様の次のBLDCプロジェクトにとって納得のいくオプションとなるでしょう。

役に立つリソース

CUIのAMT31 コミュテーション・エンコーダーシリーズをご覧ください
CUIの論文、「BLDCモーターを転流する最も効果的な方法」をご覧ください。
CUIAMT31エンコーダーの簡単なアライメントプロセスを見る

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Jason Kelly

Jason Kelly

モーションコントロール設計とアプリケーションエンジニア

CUIのAMTエンコーダーとモーションコントロール製品の設計エンジニアとして、 Jason Kellyはサポートアクセサリやソフトウェアインターフェイス、顧客ツールの作成を含む、広範囲の新しいエンコーダーデザインに取り組んでいます。CUIの革新的なAMTエンコーダーとその分野の顧客に対するサポートで彼が重視しているのは、エンジニアリング設計とプラクティスです。彼がラボで設計していないときは、自宅を改造したりトラックの修理をしたり、また彼の妻や家族と一緒に米国北東部の人に知られていない大自然を探索したりして過ごします。

 
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